2015.12.21
ブランディング会社のスタッフが選ぶ 2015年ブランディングトピックス10
田中 恵子 株式会社TCD クリエイティブディレクター
ブランディング関連のさまざまなトピックスを取り上げている「BRANDING TOPICS」。
今回は2015年を振り返って、話題になった、注目を集めたブランディングをTCDスタッフにアンケートしてみました。
プランナー、デザイナー、コピーライター、さまざまな目線から上げられたブランディングトピックスは70以上!あまりに多岐にわたったのでカテゴリに分けてご紹介したいと思います。
今年は大型のブランドリニューアルだけでなく、地域の取り組みやSNSと絡めたブランドプロモーションが目立った1年だったと感じました。
※なお、オリンピックロゴについてはぶっちぎりで1番になりそうでしたので、今回はそれ以外のテーマに絞ってみました。
■コーポレートブランド系
Google ブランドロゴ刷新
ロイター 2015年9月2日付
グーグルがロゴ刷新、創業以来5度目
http://jp.reuters.com/article/google-new-logo-idJPKCN0R14HH20150901
2015年の大型ブランドリニューアルといえばGoogleです。これまでのセリフの文字から、サンセリフのロゴに変更、れに伴って各種アイコンなども刷新されました。フラットデザイン化が進み、小さな表示領域も増加する中で、より視認性の高い書体をチョイスしたのかと思います。カラーはそのままですが、書体の変化が大きかったので、違和感を感じられた方も少なくなかったのではないでしょうか。旧ロゴがデビューした16年前はまだ限られた人だけがアクセスする場所だったGoogleが、広くポピュラーで身近なものになったと感じさせたリニューアルでした。
大塚家具 リブランディング
産経ニュース 2015年7月2日付
大塚家具、22年ぶりロゴ刷新 久美子社長「大きくイメチェンしたい」
http://www.sankei.com/economy/news/150702/ecn1507020026-n1.html
代替わりでブランドロゴなどを変更する企業は多くありますが、ロゴ発表の前から社長交代劇などで注目を集めた大塚家具。幸か不幸か社長とロゴの認知は大きく進んだのではないでしょうか。新しいロゴは旧iDCロゴの黒ベースに赤のアクセントというカラーリングを踏襲しながら、より軽やかなイメージに刷新されました。カラーリングを踏襲しながら形を大きく変える、というのはGoogleと同じですね。ロゴリニューアルと同時に新ビジョンや店舗リニューアルも発表され、今後の大塚家具の動きにも注目していきたいと思います。
■地域ブランディング系
地域ブランディング隆盛
コロカル 2015年8月27日付
本日公開!宮崎県小林市の移住促進PRムービー「ンダモシタン小林」に隠された謎とは?
http://colocal.jp/news/52915.html
宣伝会議デジタルマガジン
ブランディングの手法で滋賀県の魅力を浮かび上がらせる
http://mag.sendenkaigi.com/brain/201511/local-area-creative-direction/006467.php
地方創生が大きく語られるようになった影響からか、地域ブランディングの話題が増えてきました。昔は地域ブランディングといっても、観光地のプロモーションとおみやげ品のデザインが主流でしたが、今はその地域の人々とともに誇りを持てる魅力的な地域を作るという、まさにブランディングといった取り組みが増えてきているのも特徴かと思います。
国旗「ニュージーランド」のリニューアル
ITメディアニュース 2015年12月14日付
ニュージーランド新国旗、暫定1位のデザインを発表
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1512/14/news078.html
ニュージーランドでは、「現在の国旗がオーストラリアの国旗と酷似している」「英国植民地時代の名残がある」といった理由から、より分かりやすいデザインに変更しようと国民投票をすることになっています。新国旗はデザインコンペで集められ、1万以上のデザイン案が集まったとか。デザインは5案に絞られ国民投票にかけられ、その後さらに現行の国旗とどちらを採用するのかを投票で決定されるそうです。「よりわかりやすいニュージーランド」として選ばれるのはどんなデザインなのでしょうか。
■新しい業態&サービス
蔦屋家電オープン
FASHION PRESS 2015年5月1日付
「蔦屋家電」が二子玉川にオープン!“ライフスタイルを買う家電店”の全貌をレポートhttp://www.fashion-press.net/news/16792
「ライフスタイルを買う家電店」として二子玉にオープンした蔦屋家電も話題になりました。「代官山蔦屋書店」であたらしい書店のスタイルを提案したCCCが、今度は家電を軸に店舗をプロデュース。書店でも本だけではなくその空間を含めたスタイルを提示していた店舗づくりが、家電店でも活かされています。人気の「蔦屋書店」は梅田のルクアイーレにもオープンしました。
Apple Watch 発売
日経BizアカデミーBIZ COLLEGE 2015年5月8日付
【新連載】「Apple Watch」がついに発売、スマートウォッチ普及の起爆剤となるか
http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/yamaguchi_kenta/050700004/
いつも私たちの生活に新鮮な驚きを与えてくれるAppleからの新プロダクト。リストバンド型のスマートデバイスはここ数年でいくつか出ていましたがAppleからもデビューしました。意外とベーシックな時計型フェイスにコンパクトなiOSが搭載されています。爆発的な売れ行きではありませんでしたが、従来のアップルストアや家電店だけでなく伊勢丹などでも取り扱われたり、エルメスなどのハイブランドとのコラボなど、デジタルデバイスとライフスタイルの融合は、これまでとは一味違うユニークさを感じさせました。
ブルーボトルコーヒー日本上陸
マカロニ 2015年4月3日付
コーヒー界の“Apple”「ブルーボトルコーヒー」が日本に上陸!!
http://macaro-ni.jp/1320
コーヒー界の”Apple”とも呼ばれているブルーボトルコーヒーの日本上陸も、4時間待ちとも言われた開店時の行列と合わせて話題になりました。スターバックスが「第三の場所」をコンセプトに居心地の良い店舗を提供していたのに比べ、ブルーボトルコーヒーは原点に立ち返り一杯一杯を丁寧に淹れていくというスタイル。古めかしいやり方ではありますが、出資者にはGoogleやTwitter、Uberなどのテクノロジー企業が名を連ねている最先端のコーヒーショップブランドでもあります。
■パッケージデザイン系
マルボロの新パッケージデザイン
日経ビジネス 2015年3月6日付
「Marlboro」が60年ぶりにデザイン刷新http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20150305/278298/
規制が厳しい昨今ですが、パッケージデザインとして優れたものが多いタバコ。毎日持ち歩かれる嗜好品でもあり、飽きが来ず、かつブランドイメージが伝わるデザインが凝らされていると思います。長く愛されるパッケージが多いのも嗜好品の特徴ですが、今回のマルボロのパッケージデザインはなんと60年ぶりの全面リニューアルでした。新しいデザインでは旧デザインから引き継いだ「ルーフトップ」を大胆にあしらい、より印象的なフェイスになっています。
資生堂パーラー洋菓子シリーズの全面リニューアル
FASHION PRESS 2015年8月6日付
資生堂パーラー、25年ぶりに洋菓子シリーズのパッケージを一新 – 新作スイーツも販売http://www.fashion-press.net/news/18372
こちらもロングセラーの銀座資生堂パーラーのギフトパッケージ。実に25年ぶりにリニューアルされました。鮮やかで印象的なブルーはそのままに、各アイテムはレトロポップなデザインになっています。
■ブランドコミュニケーション系
auが2015年度CM好感度1位に
アドタイ 2015年12月10日付
auがソフトバンクの首位奪う 2015年度のCM好感度1位に
http://www.advertimes.com/20151210/article212415/
長らくソフトバンクの「白戸家」シリーズが1位だったCM好感度調査に異変が起きました。今年のCM好感度1位はauの「あたらしい英雄、三太郎」シリーズに。昔話のキャラクターたちを中心にさまざまな俳優が登場するシリーズは、あえて広告色も控えめで、ネットでも話題になりました。
ヤマト運輸「宅急便コンパクト」のプロモーション
アドタイ 2015年9月28日付
全身モフモフ!全長6mの巨大クロネコが新宿駅に出現ーヤマト運輸新キャンペーンhttp://www.advertimes.com/20150928/article204751/
プロモーションでは「リアルなでっかい猫」で話題を集めたクロネコヤマトの新サービス「宅急便コンパクト」がランクインしました。ちっちゃいものを送るなら、というコンセプトにリアルなでっかい猫というインパクト、さらに全国行脚させて話題づくり、SNS時代にあったプロモーションだと感じました。
■TCDのブランディングトピックス
「マシュー&クリスピー」お菓子のブランド・店舗をトータルプロデュースhttps://stage.tcd.jp/case/branding/matthew_chrisp
今年のブランディングトピックスアンケートと平行して、手前味噌ですが今年TCDが手がけたブランディングトピックスもアンケートしてみました。記念すべき第1位は『「マシュー&クリスピー」お菓子のブランド・店舗をトータルプロデュース』でした。2015年秋に大丸神戸店でデビューした日本初のマシュマロ&ライスクリスピーのお菓子専門店です。お近くにお越しの際はぜひ覗いてみてください。
今年も1年、どうもありがとうございました。来年も引続きThink Brandingをよろしくお願いいたします。
[筆者プロフィール]
田中 恵子
株式会社TCD クリエイティブディレクター
コンセプトからそのデザイン、コミュニケーションまでさまざまなブランド開発プロジェクトに携わる。デザイン領域にこだわらず暮らしをよりよくできるモノゴトをめざす。